2017/08/15

2017/08/10

目が合えば手を振ってみたりジェスチャーしたり口角をあげてみたりする。退勤時間が合えば一緒に帰ったり、その日体調が悪いんだと嘆いたりしていると部屋まで送って行ってくれたりする。わたしの口に合わないお菓子をあげたり彼がおいしそうだと思ったらしいお菓子をもらったりする。カフェオレを買ってくるようにパシリに使ったりする。組み方で分からないことを逐一相談したりできるしどんぐり公園でご飯を食べたりできる。

きっと本当にあっという間だ。わたしがこの9ヶ月をあっという間だと思っているように、2ヶ月なんて、2ヶ月なんて。

 彼はきっと、わたしが知っている彼の要素はほとんど全部名古屋に置いていく。三匹の美しい愛猫も、わたしを乗せてくれる青い車も。これからきっと、わたしの知らないごはんを作って食べて、わたしの知らない服を選んで着て、わたしの知らない職場に行って、わたしの知らない部屋に帰ってまた仕事したりして、わたしの知らない歯ブラシで歯を磨いて、わたしの知らない寝具で眠るんだろう。今だってお互い実家暮らしで、彼の生活を覗き見ることはなかったけれど、これからは意味が違うのだ、彼がいちから選んで選んだものたちと生活をしていくのに、それを見ることができないのだ。

とても悲しく、とても寂しく思っていることを、わたしは未だ彼に言えないでいる。情けないし格好悪いし、理解のある恋人でいたいし。

わたしは一人でたのしく生きていく自信がある。映画だって一人で観に行くし、ごはん屋さんも一人で行けるし、飲みにだって一人で行けるし、展覧会も一人で観に行けるし、そのための新幹線も夜行バスも一人で乗れる、名古屋のたのしいところは一人で見つけ出せるし一人で行くことができる。だからこそ、二人でいることのたのしさを忘れてしまったらどうしよう、と、目の前の世界のことしか考えられないわたしの性格上、思う。

 

彼が、たのしく仕事して健康的に暮らしてくれればと思う。そのためにわたしはどんなことでもしよう。わたしは、格好いい恋人であれるようにする。

 

 

866文字

広告を非表示にする