2017/08/10

目が合えば手を振ってみたりジェスチャーしたり口角をあげてみたりする。退勤時間が合えば一緒に帰ったり、その日体調が悪いんだと嘆いたりしていると部屋まで送って行ってくれたりする。わたしの口に合わないお菓子をあげたり彼がおいしそうだと思ったらしいお菓子をもらったりする。カフェオレを買ってくるようにパシリに使ったりする。組み方で分からないことを逐一相談したりできるしどんぐり公園でご飯を食べたりできる。

きっと本当にあっという間だ。わたしがこの9ヶ月をあっという間だと思っているように、2ヶ月なんて、2ヶ月なんて。

 彼はきっと、わたしが知っている彼の要素はほとんど全部名古屋に置いていく。三匹の美しい愛猫も、わたしを乗せてくれる青い車も。これからきっと、わたしの知らないごはんを作って食べて、わたしの知らない服を選んで着て、わたしの知らない職場に行って、わたしの知らない部屋に帰ってまた仕事したりして、わたしの知らない歯ブラシで歯を磨いて、わたしの知らない寝具で眠るんだろう。今だってお互い実家暮らしで、彼の生活を覗き見ることはなかったけれど、これからは意味が違うのだ、彼がいちから選んで選んだものたちと生活をしていくのに、それを見ることができないのだ。

とても悲しく、とても寂しく思っていることを、わたしは未だ彼に言えないでいる。情けないし格好悪いし、理解のある恋人でいたいし。

わたしは一人でたのしく生きていく自信がある。映画だって一人で観に行くし、ごはん屋さんも一人で行けるし、飲みにだって一人で行けるし、展覧会も一人で観に行けるし、そのための新幹線も夜行バスも一人で乗れる、名古屋のたのしいところは一人で見つけ出せるし一人で行くことができる。だからこそ、二人でいることのたのしさを忘れてしまったらどうしよう、と、目の前の世界のことしか考えられないわたしの性格上、思う。

 

彼が、たのしく仕事して健康的に暮らしてくれればと思う。そのためにわたしはどんなことでもしよう。わたしは、格好いい恋人であれるようにする。

2017/07/22

2017/06/25

なんとなく選んだご飯が、ちょっとの手間でとてもおいしくなれるものだったので、その場でレシピを母に送る。それをのっそりした目で眺めてくる。刃物は奮発した方がいいよね、柳宗理のボウルはもう少し我慢しようね、カリモクのソファはいつ買うかという話をしてから、なぜこの人と買い物に来てこんなにたのしいのにこの人と暮らさないことを選択したんだっけ?とふと思ったりする。7,600円のくずかご、1,980円のベッドシーツ。

「君の、自分でじっくりじっくり考えてそれを自分だけの力で叶えていくところをとても尊敬しているし、そうやって自分の人生を決めていくことをやめてほしくはないけれど、どんな気持ちでそうしているのかこれからどうしていくのかわたしに関わる(と信じている)部分について話してもらえないと不安になる」。仰向けに寝っ転がりながら最近思っていたことを責めるように言い募ると、ぼそぼそと答えてくれる。ぼそぼそ、ぼそぼそ。告白してくれたときも思ったけどこの人話長いな。文末だけ掻い摘んで自分の中で要約する。わたし、ものすごいことを言われていないか。約束であり魔法であり呪いであり夢であり現実であり二人だった。ああ、こんな場所で(本当にね)、こんな責めるような口調で聞くべきでなかったかもしれない、きっとおそらく多分、彼は彼なりにきっといろいろ考えてくれていたのだろうに。

 

2017/07/15

 彼から痛いメッセージをもらった夜、一人で泣いた。その日は同居人も帰ってこない日だったので、本当に本当に、人生で初めて、一人の夜だった。壁の向こうに階下に家族が誰かしらいる、そんなことが23年間当たり前だったから、JPOPの歌詞によくある一人の夜って、なんじゃそらと思っていたのだ。

 

2017/07/22

いろんな気持ちがすり減ってしまって、今はぐったりしながら食べ終わったごはんのお皿に背を向けてこれを打っている。べつに悲しくはない、と思っている。

 

 

837文字

2017/05/01

すおっと、音がして、オレンジ色の点線が流れていく。夜の田んぼの中を新幹線が滑っていく。いつもだったらはしゃいだ声を出してしまうはずなのに、あまりにもきれいで二人とも黙ってしまった。「きれい」思わずこぼれてしまったというように、すこし上ずった声。いっしょに見れることができて良かった。

 

 

149文字

2017/04/30

2017/04/23

一人暮らしをしている女性のおうちに一人で遊びに行ったのは、そういえば初めてな気がする。歩くのがはやい彼女と、大量のビールを抱えて、すっかり葉桜になってしまった駅前の道を抜ける。日差しが直線だ、もう夏だ。切って炒めるだけ、煮るだけ、焼くだけ、というような料理を、彼女はくるくる踊りながら作ってくれる(わたしは洗い物をし、野菜を袋にしまって冷蔵庫にしまうという役なので、作ってくれたという表現で正しい)。冷蔵庫を開けるたびに変なおもちゃがダミ声で「こんにちは」と話しかけてくる。ビールを飲んで、一つ食べ終わったらビールを飲みながら作り、また食べ終わったらビールを飲みながら作る。身軽で気軽でだらだらしたお昼ご飯。

彼女の住んでいる街は静かで、さっき見た2匹のボーダーコリーの声が遠くで聞こえる。夏の日差しが白いカーテンを透かしている。

わたしたちは同じ会社で働いていて、でも彼女は全然違うことを勉強してきて今も全然違う内容でお金を稼いでいるのだけれど、彼女の勉強への姿勢、社会への姿勢、自身の人生への姿勢がとてもすきだ。一緒にビールを飲めてうれしい。

 

 

486文字

 

2017/04/20

自分のために生きていきたいので子どもを産むことは想定していないとすでにお伝えてしているのだが、このひとの子ども、このひとに育てられた子ども、子どもを育てているこのひとを見てみたいと、そう思ってしまった。春。

 

110文字

2017/03/08

角田光代

基本的に和食。安居酒屋でビール。うんざりすると割と容易にカップラーメンを食べる。

 

江國香織

野菜、果物は基本的に生。ワインやカンパリハイボールなど。老舗の洋食屋や緑の生い茂るフレンチ、薄暗く女性がバーテンをしているバーなど。タバコ。外食では本格的な欧州系の食事。

 

よしもとばなな

豆、根菜類。煮込んだり丸焼きしたり、温かい料理。作る。

 

著作ほぼ制覇してみてこんな印象。

 

 

189文字