2017/07/22

2017/06/25

なんとなく選んだご飯が、ちょっとの手間でとてもおいしくなれるものだったので、その場でレシピを母に送る。それをのっそりした目で眺めてくる。刃物は奮発した方がいいよね、柳宗理のボウルはもう少し我慢しようね、カリモクのソファはいつ買うかという話をしてから、なぜこの人と買い物に来てこんなにたのしいのにこの人と暮らさないことを選択したんだっけ?とふと思ったりする。7,600円のくずかご、1,980円のベッドシーツ。

「君の、自分でじっくりじっくり考えてそれを自分だけの力で叶えていくところをとても尊敬しているし、そうやって自分の人生を決めていくことをやめてほしくはないけれど、どんな気持ちでそうしているのかこれからどうしていくのかわたしに関わる(と信じている)部分について話してもらえないと不安になる」。仰向けに寝っ転がりながら最近思っていたことを責めるように言い募ると、ぼそぼそと答えてくれる。ぼそぼそ、ぼそぼそ。告白してくれたときも思ったけどこの人話長いな。文末だけ掻い摘んで自分の中で要約する。わたし、ものすごいことを言われていないか。約束であり魔法であり呪いであり夢であり現実であり二人だった。ああ、こんな場所で(本当にね)、こんな責めるような口調で聞くべきでなかったかもしれない、きっとおそらく多分、彼は彼なりにきっといろいろ考えてくれていたのだろうに。

 

2017/07/15

 彼から痛いメッセージをもらった夜、一人で泣いた。その日は同居人も帰ってこない日だったので、本当に本当に、人生で初めて、一人の夜だった。壁の向こうに階下に家族が誰かしらいる、そんなことが23年間当たり前だったから、JPOPの歌詞によくある一人の夜って、なんじゃそらと思っていたのだ。

 

2017/07/22

いろんな気持ちがすり減ってしまって、今はぐったりしながら食べ終わったごはんのお皿に背を向けてこれを打っている。べつに悲しくはない、と思っている。

 

 

837文字

2017/05/01

すおっと、音がして、オレンジ色の点線が流れていく。夜の田んぼの中を新幹線が滑っていく。いつもだったらはしゃいだ声を出してしまうはずなのに、あまりにもきれいで二人とも黙ってしまった。「きれい」思わずこぼれてしまったというように、すこし上ずった声。いっしょに見れることができて良かった。

 

 

149文字

2017/04/30

2017/04/23

一人暮らしをしている女性のおうちに一人で遊びに行ったのは、そういえば初めてな気がする。歩くのがはやい彼女と、大量のビールを抱えて、すっかり葉桜になってしまった駅前の道を抜ける。日差しが直線だ、もう夏だ。切って炒めるだけ、煮るだけ、焼くだけ、というような料理を、彼女はくるくる踊りながら作ってくれる(わたしは洗い物をし、野菜を袋にしまって冷蔵庫にしまうという役なので、作ってくれたという表現で正しい)。冷蔵庫を開けるたびに変なおもちゃがダミ声で「こんにちは」と話しかけてくる。ビールを飲んで、一つ食べ終わったらビールを飲みながら作り、また食べ終わったらビールを飲みながら作る。身軽で気軽でだらだらしたお昼ご飯。

彼女の住んでいる街は静かで、さっき見た2匹のボーダーコリーの声が遠くで聞こえる。夏の日差しが白いカーテンを透かしている。

わたしたちは同じ会社で働いていて、でも彼女は全然違うことを勉強してきて今も全然違う内容でお金を稼いでいるのだけれど、彼女の勉強への姿勢、社会への姿勢、自身の人生への姿勢がとてもすきだ。一緒にビールを飲めてうれしい。

 

 

486文字

 

2017/04/20

自分のために生きていきたいので子どもを産むことは想定していないとすでにお伝えてしているのだが、このひとの子ども、このひとに育てられた子ども、子どもを育てているこのひとを見てみたいと、そう思ってしまった。春。

 

110文字

2017/03/08

角田光代

基本的に和食。安居酒屋でビール。うんざりすると割と容易にカップラーメンを食べる。

 

江國香織

野菜、果物は基本的に生。ワインやカンパリハイボールなど。老舗の洋食屋や緑の生い茂るフレンチ、薄暗く女性がバーテンをしているバーなど。タバコ。外食では本格的な欧州系の食事。

 

よしもとばなな

豆、根菜類。煮込んだり丸焼きしたり、温かい料理。作る。

 

著作ほぼ制覇してみてこんな印象。

 

 

189文字

2017/02/19

窓の外の流れる景色を睨んだのは、彼の車では初めてだった。濡れたリッチブラックの路面に、信号機の光が映ってきれいだった。

「どうにかしたい、ごめんね、そうじゃない」という気持ちが、普段飄々としている彼には珍しく焦った表情と、撫でてくれる手から伝わった。一呼吸おいても、ふた呼吸おいても、腹の中でふつふつと湧き出てくるものがどうにも収まらない。信号機の反射が滲んでぼやけていく。怒りで泣くのは久しぶりだった。信号をいくつか通り過ぎて、その度に手や、腕や、襟足や、髪を撫でてくれるのだが、その体温すら受け入れ難く、ちょっとだけ笑いながらだけれども、「むかつく!」「触んな!」と彼の腕を突き返した。

「男性のあなたにはわからない」と、自分の言葉尻がついに泣き声になったのを聞いた。気がつくとわたしは彼の膝の上に頭を乗せさせられており、泣いて怒っていた。さすがにこの体勢はと恥ずかしくなって起き上がろうとすると、「まだだめだよ」と頭を押さえられてかなわないので、泣きながら笑ってしまった(力つよい)。停めた車内は静かだった。腹から出てくる思いをそのままこぼした。この人なら受け入れてくれるだろう、真剣に聞いてくれるだろうという、信頼とも甘えとも言える気持ちに身を任せた。他人に対して怒るというのは久しぶりのことだった。わたしのその怒りに、当たり前の話だが、男性は男性で、矛盾に満ちていたり違和感を覚えたり見過ごしたり飲み込んだりする他人からの言葉や行動があるのだと、本当に当たり前の話だったのだろうが、教えてもらった。

身体に溜まってゆくモヤモヤした怒りや違和感、悲しみ、虚しさたちを、くだらなくささいで、自己肯定感の低さからくる理由でそのままにしておかなくてよかった。わたしが考え、傷つき、悲しんだ言動を、この人に知ってもらえてよかった。

初めてけんかした日は、釣った魚を煮たり焼いたり刺身にしたりして食べた(比喩じゃない)。この人をとてもすきだと思った。

 

 

825文字